【File.19】コルセットという名の「精神安定剤」

【File.19】コルセットという名の「精神安定剤」

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外すと壊れそうで

「先生、これ(コルセット)を外すのが怖いんです。外すと、腰が砕けてしまいそうで……」

M様(50代女性)は、夏場だというのに、分厚い医療用コルセットをガッチリと巻いて来院されました。 1年前に「腰椎すべり症」と診断され、医師から「骨がズレて不安定だから、コルセットで固定しなさい」と言われたのがきっかけでした。

それ以来、M様にとってコルセットは体の一部。 お風呂に入る時以外、寝る時でさえ緩めのサポーターをしていないと不安で眠れない。 まさに「コルセット依存症」の状態でした。

言葉の呪い(ノセボ効果)

M様の腰を触診すると、皮膚が弱り、腹筋がペラペラに薄くなっていました。 長期間の固定により、自前の筋肉が「あ、私は働かなくていいんだ」とサボりきっていたのです。

しかし、最も深刻だったのは心の状態です。 「骨がズレている」「不安定だ」という医師の言葉が、M様の脳内で「私の腰はガラス細工のように脆い」という強烈なイメージ(ノセボ効果)を作り出していました。 実際には、人間の背骨はそんなに簡単に砕けたりしません。 M様を支えていたのはコルセットではなく、「コルセットがないとダメだ」という「思い込み」でした。

自前のコルセットを呼び覚ます

「Mさん、今のままでは、一生コルセットの奴隷です。あなたの体には、もっと素晴らしい『天然のコルセット』があるんですよ」

私は、M様の眠っているインナーマッスル(腹横筋)を目覚めさせる施術を行いました。 そして、少しずつコルセットを外す時間を増やしていく「離脱プログラム」を提案しました。

「最初は家の中だけでいいので、外してみましょう。大丈夫、絶対に壊れませんから」

不安がるM様の手を引き、コルセットなしで立つ練習から始めました。 脳の恐怖心を、成功体験で書き換えていくのです。

風通しの良い腰

2ヶ月後。 M様はコルセットを家に置いて、旅行に行けるまでになりました。 「久しぶりに風が通る感じがします。私の腰、意外と丈夫だったんですね」

道具に頼るのは悪いことではありません。 でも、それがあなたの自信と筋力を奪っているなら、卒業の時です。 大丈夫、あなたの体はあなたが思っているより、ずっと強いですよ。

【読者の皆様へ:本記事の取り扱いについて】

本記事は事実に基づくフィクションです。筆者は医師ではありません。記事内容は医学的診断を代替するものではなく、「科学的エビデンス」に基づく情報提供を目的としています。具体的な診断や治療については、必ず医師の診察を受けてください。その上で、「病院では解決しなかった悩み」の選択肢としてお読みいただければ幸いです。

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この記事を書いた人

早坂 秀一のアバター 早坂 秀一 痛み回復センター東京代表/日本慢性痛施術者協会理事/慢性痛施術者・整体師(臨床歴13年)


もう治らない」と諦めかけているその痛み、実は体だけでなく「脳や心の緊張」が原因かもしれません。 私は、単に筋肉をほぐすだけでなく、対話を通じて不安を取り除き、あなたが本来持つ「回復する力」を引き出すことを大切にしています。


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