なぜ病院で「異常なし」でも激痛が続くのか? 答えは「脳の勘違い」と「神経の過敏さ」にあった

限定記事(第2回)へようこそ。 痛み回復センター東京の早坂です。

昨日の第1回では、

  • 痛い場所をグイグイ揉む
  • むやみに安静にする
  • 痛みを我慢してストレッチする

といった「良かれと思ってやっていたケア」が、逆にあなたの痛みを悪化させている危険性をお伝えしました。

「じゃあ、一体どうすればいいんだ!」 「私の痛みは、何が原因なんだ!」

そんな、もどかしい思いを抱いているかもしれません。 その「根本的な疑問」に、今日はお答えします。

この記事を読み終える頃、あなたは「なぜ自分の痛みが治らなかったのか」がハッキリとわかり、「治るかもしれない」という強い希望を手に入れているはずです。

あなたの「常識」を覆す、衝撃の事実

まず、あなたに質問です。 あなたは、ご自身の痛みの原因を「骨(構造)の問題」と思っていませんか?

  • 「レントゲンで、骨と骨の間が狭くなっていると言われたから(脊柱管狭窄症)」
  • 「MRIで、椎間板ヘルニアが神経に触っていると言われたから」
  • 「お尻の筋肉(梨状筋)が硬いから」

これらは、病院や整体で「腰痛・坐骨神経痛の原因」として説明されることの代表例です。 あなたも、この「体の構造的な問題(=形の異常)」が「痛み」を生み出していると、固く信じているかもしれません。

では、今からあなたの「常識」を覆す、衝撃的な事実をお伝えします。

事実:腰痛や坐骨神経痛を「全く感じていない」健康な人を集めてMRIを撮ると、その7割〜9割の人に「ヘルニア」や「狭窄」が見つかる。

これは、世界中の多くの医学的研究で証明されている、動かしようのない事実です。

どういうことか、わかりますか?

「ヘルニアがある = 痛い」 「骨が変形している = しびれる」

という、あなたが信じてきた「公式」は、必ずしも正しくない、ということです。 「骨や軟骨の形」と「あなたの痛み」は、=(イコール)ではないのです。

だから、あなたは病院で「異常なし」と言われたり、逆に「ヘルニアです」と診断されたりしたにも関わらず、 「痛み止めの薬が効かない」 「湿布を貼っても気休めにしかならない」 「手術をしたのに、痛みが再発した」 という、「治らないループ」にはまっていたのです。

痛みの本当の正体 =「体のキズ」ではなく「脳の誤作動」

では、本当の黒幕は誰か。 なぜ、体には「異常なし」なのに激痛が走るのか。

その答えは、「脳」と「神経」にあります。

「え、脳? まさか『気のせい』だと言いたいのか?」

絶対に違います。 あなたの痛みは、100%「本物」です。 気のせいなどでは断じてありません。

そうではなく、 「痛い」と感じる「システムそのもの」が誤作動を起こしている ということです。

これを理解するために、昨日も使った「火災報知器」の例え話を進化させましょう。

【正常な痛み(急性痛)】

  1. 火事(ケガ)が起きる
  2. 煙(発痛物質)が出る
  3. 火災報知器(神経)が「煙」をキャッチ
  4. 警備室(脳)に「火事だ!」と信号が飛ぶ
  5. 警報ベル(痛み)が鳴る
  6. あなたは「熱い!痛い!」と感じ、逃げる(体を守る)

これは、体を守るために必要な、正常な「警報システム」です。

【問題の痛み(あなたの慢性痛)】

  1. 最初の火事(ケガや歪み)は、とっくに鎮火した(体は治った)
  2. それなのに…火災報知器(神経)が、タバコの煙や料理の湯気(日常のささいな動作)にまで反応し、信号を送り続けている
  3. 警備室(脳)も、一度火事を経験したせいでパニックになり、「火事かも!?」と勘違いし、警報ベルを鳴らし続けている

これが、あなたの痛みの正体です。 体はとっくに治っているかもしれないのに、「警報システム」が壊れたままになっている状態。

私たちは、この「壊れた警報システム」を、 ① 神経の過敏さ(しんけいのかびんさ) ② 脳の勘違い(のうのかんちがい) と呼んでいます。

① 神経の過敏さ = 警報器が敏感になりすぎている

痛みが長期間(3ヶ月以上)続くと、「神経」そのものが変化してしまいます。 痛みの信号を何度も何度も送るうちに、神経の「通り道」が太く、敏感になってしまうのです。

車で例えるなら、今までは「普通の道」だったのが、痛みが続いたせいで「高速道路」になってしまったようなもの。

その結果、 「ただ座っているだけ」 「ちょっと歩いただけ」 という、本来なら問題のない「刺激」までもが、この高速道路を通って脳に「危険信号」として届いてしまうのです。

これが「ジンジン」「ズキズキ」と続く、あの不快な痛みの正体の一つです。

② 脳の勘違い = 警備室がパニックを起こしている

最も重要なのが、この「脳」です。 「痛み」を最終的に作り出しているのは、体の部位ではなく、あなたの「脳」です。

痛みの信号(危険信号)を長期間受け取り続けた脳は、「学習」してしまいます。 「この体は、常に危険にさらされている」と。

その結果、脳は「あなたを守ろう」と、過剰に防衛モードに入ります。

  • 「また痛くなるかも」という不安
  • 「もう治らないかも」という恐怖
  • 仕事や生活へのストレス

これらの「ネガティブな感情」が、脳の防衛モードの「ガソリン」になります。 脳は、これらの感情を「さらなる危険信号」と勘違いし、 「もっと体を守れ!」 「動かすな!」 と命令し、痛みをさらに強くしたり、筋肉をガチガチに硬直させたりするのです。

これが、「脳の勘違い(誤作動)」です。

だから、あなたの今までの治療は効かなかった

ここまで読めば、もうお分かりですね?

あなたが今まで受けてきた治療は、「形(構造)」は見ていましたが、「システム(脳・神経)」を見ていませんでした。

  • 痛む場所への強いマッサージ → 壊れてピーピー鳴っている「火災報知器」を、さらにグイグイ叩く行為です。神経(報知器)は余計に興奮し、脳(警備室)は「ほら、やっぱり危険だ!」とパニックを強めます。
  • 痛み止めの薬・注射 → 鳴り響く「警報ベル」の音を、一時的に小さくするだけです。システム(報知器と警備室)の誤作動は直っていないので、薬が切れればまた鳴り出します。
  • 「異常なし」と言われて放置 → 火事(ケガ)は治まったかもしれませんが、「報知器」と「警備室」は壊れたまま。誰も修理してくれず、警報(痛み)だけが鳴り響いている最悪の状態です。

あなたは、悪くありません。 ただ、「戦う場所」を間違えていただけなのです。

では、どうすれば「警報システム」はリセットできるのか?

長引く痛みから根本的に改善するために戦うべき相手は、 「骨の変形」や「硬い筋肉」ではありません。

「神経の過敏さ」と「脳の勘違い」 という、「壊れた警報システム」です。

では、どうすればこのシステムを「リセット」できるのでしょうか? どうすれば、あなたの脳に「もう火事は終わったよ」「もう安全だよ」と教えてあげられるのでしょうか?

一つだけ確かなことは、 「力(グイグイ押す)」や「恐怖(バキバキする)」では、脳は絶対に「安全」だと思ってくれない、ということです。

明日の【限定記事 第3回(最終回)】では、

「脳の勘違い」をリセットする根本改善アプローチ

と題して、当院がどのようにしてこの「壊れた警報システム」に働きかけ、根本改善へと導いていくのか、その「具体的な方法(アプローチ)」について、ついに公開します。

あなたの「治らない」という絶望を「治る」という確信に変える、最後の一歩です。 ぜひ、最後までついてきてください。

痛み回復センター東京 早坂秀一