朝起きるのが憂鬱、歩くのが怖いあなたへ。踵の「痛む場所が変わる」「触っても痛くない」に隠された脳の誤作動

踵の痛み

「明日の朝、目が覚めたとき、またあの激痛から始まるのだろうか……」

夜、ベッドに入るときにそんな不安が胸をよぎり、朝を迎えるのが憂鬱になっていませんか?

朝、目が覚めて、布団をめくり、ベッドから床に足を最初の一歩を下ろすその瞬間。

踵(かかと)に走る、あの「ピキッ」とした刺すような激痛。

あまりの痛さに、まともに足をつけず、つま先立ちでペンギンのように歩かなければならない。

病院で「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」と言われ、言われた通りに安静にし、オーダーメイドのインソールも作った。

それなのに、数ヶ月経っても、半年経っても一向に変わらない。

「いつまでこの痛みが続くんだろう」

「もう一生、普通に歩けないのかもしれない」

お友達との旅行を断り、大好きなショッピングも諦め、家事をするのも億劫になり、ただ普通に一歩を踏み出すことすら「怖い」と感じてしまう。

そんな風に、一人で痛みを抱え、孤独な不安の中にいるあなたへ。

この記事は、あなたのその長引く踵の痛みの「本当の理由」を、科学的な事実とともに、痛みの本質を解き明かすために書きました。

目次

病院でも説明がつかない「不思議な痛み」の数々

これまで色々な病院や整体を回る中で、先生にこんな症状を伝えたことはありませんか?

  • 「先生、朝の一歩目は激痛なのに、しばらく歩いていると少し楽になるんです」
  • 「日によって痛みの強さが全然違って、雨の日や疲れている日は特にひどいんです」
  • 「昨日は踵の後ろが痛かったのに、今日は土踏まずのあたりが痛いんです。痛む場所が変わるんです」
  • 「不思議なことに、自分で踵を触ったり押したりしてもそんなに痛くないのに、地面に足をつけると激痛が走るんです」

これらの訴えに対して、病院の先生は納得のいく答えをくれたでしょうか?

「そんなはずはない」

「気のせいじゃないか」

「年齢のせいだからうまく付き合って…」

そんな風に、心ない言葉であしらわれ、深く傷ついた方もいるかもしれません。

なぜなら、現代の多くの医療現場では、痛みの原因を「足の裏の組織が傷ついているから(構造の異常)」という1つの視点だけで見ようとするからです。

しかし、もし組織の傷だけが原因なら、日によって痛みが変わることも、痛む場所があちこち移動することも、触って痛くないのに歩くと痛いことも、医学的な説明がつきません。

組織の傷は、日替わりで移動したりしないからです。

では、あなたの足の裏で、一体何が起きているのでしょうか?

踵の痛みの原因は足の裏ではない。

最新の痛み治療の世界基準である「BPSモデル(生物・心理・社会的モデル)」では、長引く慢性的な痛みの正体を、足の裏の傷ではなく「脳の神経系の誤作動」であると突き止めています。

分かりやすく例えるなら、脳と神経は「火災報知器」です。

最初に踵を痛めたとき、足の裏では小さな「ボヤ(組織の炎症)」が起きていました。

火災報知器である脳は、「危ない!足をつけちゃダメだ!」とあなたを守るために、激しい警報(痛み)を鳴らしました。これが初期の痛みです。

通常、数週間から数ヶ月経てば、足の裏のボヤは綺麗に消え、組織は回復します。

しかし、痛みが長期間に及ぶと、「火事はとっくに消えているのに、火災報知器だけが過敏になり、煙もないのに24時間大音量で鳴り止まない状態」になってしまうのです。

これを専門用語で「中枢性感作(ちゅうすうせいかんさ)」と呼びます。

  • 触っても痛くないのに、歩くと激痛が走る理由: 脳が「足を地面につける=痛むはずだ」と過去の記憶から強力に先回りをして、体重がかかった瞬間に過敏になった火災報知器(警報)のスイッチを自分で入れてしまうからです。
  • 痛む場所が変わる、日によって強さが違う理由: 足の裏の傷が動いているのではなく、脳の神経ネットワークの「興奮度合い」が、その日の体調や天気、あなたの心の状態によって揺れ動いているからなのです。

あなたの足の裏は、もう決して壊れてなどいません。ただ、あなたの脳と神経が、あなたを守ろうとするあまり、少し真面目に頑張りすぎて「警戒モード」を解けなくなっているだけなのです。

「歩くのが怖い」という恐怖心そのものが、痛みを強くする

「痛むのが怖いから、歩きたくない」 そう思うのは、人間として当然の防衛本能です。

しかし、この恐怖心や「また痛むかもしれないという予期不安」そのものが、実は火災報知器の感度をさらに引き上げてしまうという、悲しい悪循環が存在します。

脳は、恐怖や不安を感じると、身体を緊張させるストレスホルモンを分泌します。

すると、足の裏の神経はさらにギュッと硬くなり、普段ならなんともない「床に触れる」というわずかな刺激さえも、「激痛」として脳に報告するようになってしまいます。

あなたが悪いわけではありません。 「治らない不安」と「歩く恐怖」が、脳の警戒システムをガチガチにロックしてしまっているだけなのです。

だからこそ、ガチガチに緊張した足の裏を力任せにマッサージしたり、無理に歩かせたりする強い刺激(治療)を行うと、脳は「攻撃された!」とさらにパニックを起こし、火災報知器の音を大きく(悪化)させてしまいます。

必要なのは、強い刺激ではなく、脳に「もう火事は消えたから、安心しても大丈夫だよ」と教えてあげる、優しいアプローチなのです。

脳の安心を取り戻し、もう一度笑顔で歩ける日々へ

当院でお預かりする踵の痛みの患者様には、まずこの「痛みの仕組み」を正しく知っていただくことから始めます。

「なぜ痛いのか」という正体不明の恐怖が消えるだけで、脳の火災報知器の感度は、驚くほどスッと下がり始めます。

そして、施術では触れているだけのような微細なタッチで、緊張しきった神経系へ「ここは安全な場所だよ」と語りかけるようにアプローチをしていきます。バキバキすることも、痛みを我慢してもみほぐすことも一切ありません。

「私の気のせいじゃなかったんだ」

「私の体が壊れていたわけじゃないんだ」

その納得と安心が脳に届いたとき、長年鳴り止まなかった火災報知器は、静かにその音を小さくしていきます。

あんなに怖かった朝の一歩目が、少しずつ、でも確実に軽くなっていく。

お友達に「次の旅行、私も行くわ」と言えるようになる。

痛みのことを忘れて、青空の下を笑顔で散歩している。

そんな当たり前だった、愛おしい日常を、私はあなたと一緒に取り戻したいと思っています。

もう一人で、その一歩を怖がる必要はありません。

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この記事を書いた人

早坂 秀一のアバター 早坂 秀一 痛み回復センター東京代表/日本慢性痛施術者協会理事/慢性痛施術者・整体師(臨床歴13年)


もう治らない」と諦めかけているその痛み、実は体だけでなく「脳や心の緊張」が原因かもしれません。 私は、単に筋肉をほぐすだけでなく、対話を通じて不安を取り除き、あなたが本来持つ「回復する力」を引き出すことを大切にしています。


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