坐骨神経痛の症状は腰やお尻、太ももやふくらはぎ、足首や足指など発症する範囲も広く、痛みやしびれだけでなく他にも様々な症状が現れます。
これらを全てまとめて坐骨神経痛と呼ぶには少し無理があるかもしれませんが、坐骨神経痛の特徴である痛みを中心にまとめてご紹介します。
1. 坐骨神経痛とは
坐骨神経痛は、坐骨神経の痛み(症状)とも読めますが、坐骨神経の神経痛という意味です。
神経痛とは末梢神経への傷害(損傷、圧迫など)が原因で起こるとされている痛みです。
神経痛の症状には痛みやしびれがありますが、一般的には症状が長時間続くことは少ないと言われています。
その他の症状に、筋萎縮(筋肉が痩せる)や感覚鈍麻 (感覚が鈍る)などがあります。
また、神経痛は、神経痛の原因である末梢神経の場所(種類)によって分類されます。
主な神経痛として三叉神経痛(顔面の神経痛)、坐骨神経痛(お尻、脚の神経痛)、肋間神経痛(背中、脇腹の神経痛)などがあります。
しかし、坐骨神経痛の場合、坐骨神経が傷害(損傷、圧迫など)されて痛みが起こるというのは本当でしょうか。
坐骨神経への圧迫が認められても痛みを伴わない場合もあります。
坐骨神経への強い圧迫がある場合などは異常感覚や感覚鈍麻、麻痺は可能性としてあるかもしれないが、神経自体が痛みを感じるわけでもなく、圧迫されているとしても、症状がでている時だけ圧迫されているとも考えられません。
2. 坐骨神経痛の初期症状
何の前触れもなく急にお尻や足に強い痛みを感じる人もいますが、初めはお尻や足にだるさや違和感、重苦しさを感じます。
また、ふくらはぎが攣りやすくなったり、むくみやすくなるという人もいます。
そして、徐々にだるさや違和感が痛みに変わり、しびれもでてきます。
具体的には、長時間座っていたり、立っていると足がしびれる、足に力が入らなくなり歩く速度が遅くなる、たまに太ももやふくらはぎにチクチクやジンジンするような痛みがでるなどです。
初めは毎日症状がでるわけではなく、1ヶ月や2〜3週間に1回程度、気づいたら痛みやしびれが無くなっているという状態が続きます。
この時に、何もせずに自然に治ってしまう人も少なくありません。
原因が特定できない腰痛の自然経過
非特異的腰痛 (原因が特定できない腰痛)
全腰痛患者に占める割合は80〜90%で6週間以内に90%の患者が自然に回復神経根症状
全腰痛患者に占める割合は5〜10%で6週間以内に50%の患者が自然に回復Fry pyre JW.N Engl J Med.1988
3. 坐骨神経痛の症状 痛みとしびれ
他の神経痛と同じように坐骨神経痛の主な症状は、痛みやしびれです。
足の一部に症状がでることもあれば、全体に症状がでる場合もあります。
痛みやしびれは主観的なものなので強さや種類は本人にしかわかりません。
痛みやしびれが悪化すると座ると痛い、痛くて立っていられない、力が入らない、長く歩けないなど日常生活にも支障がでてきます。
また、痛くて寝れない、寝ると(横になると)痛いというのも深刻な悩みです。
坐骨神経痛とはどんな痛み?
痛みといっても人によってそれぞれ感じ方も表現も違いますが、特徴的な表現は「針を刺したような痛み」「電気が走るような痛み」でしょうか。
その他にもいろいろな痛みがあります。
坐骨神経痛の痛みの表現
- 刺すような痛み
- 電気が走るような痛み
- 灼けつくような痛み
- 鋭い痛み
- 圧迫されたような痛み
- しびれて痛い
- 鈍い痛み
- 疼くような痛み
- ジンジン、ヒリヒリする痛み
- 激痛 など
慢性腰痛などと比べて、坐骨神経痛は激しい痛み、鋭い痛みと表現する人が多いかもしれません。
4. 坐骨神経痛の症状の場所(部位)
坐骨神経痛だからといって症状が現れる場所はみんな同じではありません。
一般的には左足か右足のどちらか片側に症状がでると言われていますが、両足に症状がでる人も珍しくありません。
また、足全体に痛みやしびれを感じる人から、お尻や太ももだけ痛い、足首が痛いという人まで様々です。
坐骨神経痛と腰痛
腰痛から坐骨神経痛を発症する人や、坐骨神経痛の足の痛みをかばって歩いているうちに腰が痛くなる人など腰痛と坐骨神経痛は深い関係にあります。
腰の痛みは足の痛みに比べると軽度な場合が多く、腰痛を伴わない坐骨神経痛もあります。
坐骨神経痛とお尻の痛み
お尻の痛みやしびれが強くて座ることもできないという人もいます。
また、変形性股関節症の人も同じような痛みを感じる場合があります。
坐骨神経痛と太ももの痛み
坐骨神経の通り道である太ももの裏だけでなく、太ももの外側、太ももの前面にも痛みを感じます。
坐骨神経痛と膝の痛み
膝や膝裏が痛くなる人もいます。
多くの人は膝裏を押すと痛みを感じるのではないでしょうか。
坐骨神経痛とふくらはぎ、すねの痛み
ふくらはぎの張りや激痛、しびれやむくみに悩まされている人も少なくありません。
ふくらはぎよりは少ないかもしれませんが、すねに痛みを感じる人もいます。
坐骨神経痛と足首、足裏、足指の痛み
足首、くるぶし、足裏、足指などは痛みだけでなくしびれや感覚鈍麻 (感覚が鈍る)も起こります。
5. 坐骨神経痛の症状 その他
坐骨神経痛は痛みやしびれだけでなく、いろいろな症状を伴う場合があります。
坐骨神経痛のその他の症状
- 冷感や灼熱感
- むくみ
- 筋萎縮(筋肉が痩せる)
- 感覚鈍麻 (感覚が鈍る)
- 痛覚過敏(通常よりも痛みを強く感じる)
- 麻痺 など
神経痛の症状 間欠性跛行
間欠性跛行とは、腰部脊柱管狭窄症による坐骨神経痛に多いと言われ、少し歩くと足に痛みやしびれが生じ、休むとまた歩けるようになる症状のことです。
痛みやしびれがなくても、歩いているとだんだんお尻や足がこわばり歩けなくなるという人もいます。
閉塞性動脈硬化症や閉塞性血栓性血管炎などの血管の病気で間欠性跛行が起こる場合もあります。
6. 坐骨神経痛の症状 まとめ
坐骨神経痛とは坐骨神経の圧迫により起こる症状ということになっていますが、本当に坐骨神経の圧迫でこれほどの症状が起こり得るのでしょうか。
症状が悪化するというのは坐骨神経への圧迫が強くなるということを意味するのでしょうか。
症状が強い日と弱い日では椎間板の突出が違うのでしょうか。
加齢による脊柱管の狭窄が原因であれば、脊柱管狭窄症による坐骨神経痛は進行性の病気で治らないということになります。
坐骨神経痛は、本当に坐骨神経の神経痛なのでしょうか。
坐骨神経痛の症状でもっとも共通している点は、筋肉の緊張(筋肉のこわばり)です。
お尻に症状がでる人は、お尻や腰の筋肉、太ももやふくらはぎに症状がでる人は、太ももやふくらはぎの筋肉が緊張しています。
そして、これらの筋肉の緊張が緩めば症状は緩和されます。
痛いのは神経ですか、しびれるのは神経ですか。
否、痛みもしびれも筋肉に起こる症状です。
坐骨神経痛の症状を改善する鍵は筋肉にあります。
(無意識に入っている)筋肉の力が抜けない状態が続くと痛みやしびれなどの症状となって現れるのです。
間欠性跛行の休むとまた歩けるようになるというのは、休むことで筋肉の緊張が少し緩むからであります。