【File.23】「異常なし」の絶望を救った、たった一言

【File.23】「異常なし」の絶望を救った、たった一言

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透明な痛み

「先生、私は嘘をついているんでしょうか……」

Y様(50代女性・パート)は、院内に入るなり、溢れる涙をこらえきれずにいました。 腰から背中にかけての、焼けるような痛み。 しかし、複数の病院でレントゲンもMRIも撮りましたが、診断結果はすべて同じでした。

「骨に異常はありません」

そして決まってこう言われるのです。 「年のせいでしょう」「ストレスじゃないですか?」「うまく付き合っていくしかありません」 出されるのは湿布と痛み止めだけ。

「こんなに痛いのに、誰もわかってくれない。家族にも『病院で何もないなら大丈夫じゃない?』と言われて……」

Y様を最も苦しめていたのは、痛みそのものよりも、「痛みの理由がない」という孤独と絶望でした。

痛みをつくる言葉

私はY様の背中に触れました。鉄板のように硬く、呼吸も浅くなっていました。 彼女の痛みは、決して「気のせい」や「嘘」ではありません。

「異常なし」という言葉は、医学的には「手術が必要な病気や怪我(ガンや骨折)ではない」という意味です。 しかし、受けとる側にとっては「あなたの痛みには理由がない(=我慢しろ)」という「否定の言葉」として脳に刺さります。

「治らないかも」「誰も信じてくれない」 この強烈なストレスと不安が、脳の警報システムをパニックにさせ、痛みのボリュームを最大まで引き上げていたのです。 これを専門用語で「破局的思考(カタストロファイジング)」と呼びます。 Y様の痛みの主原因は、骨ではなく、「脳の誤作動(システムエラー)」でした。

あなたのせいじゃない

私はY様の目を見て、はっきりと伝えました。

「Yさん、異常なしと言われても痛いのは、あなたのせいじゃありませんよ。 あなたの脳が、必死に体を守ろうとして警報を鳴らし続けているだけです。誤作動は必ず治せます」

その言葉を聞いた瞬間、Y様は「わかってもらえた」と肩の力が抜け、大粒の涙を流されました。 この「安心感」こそが、回復の最大のスイッチです。

施術では、交感神経の興奮を鎮めるように、背骨と頭蓋骨を優しく調整しました。 脳が「もう戦わなくていいんだ」と理解すると、鉄板のようだった背中の筋肉が、嘘のようにフニャフニャに緩んでいきました。

嘘のように消えた痛み

施術後、Y様は何度も背中をさすりながら、信じられないという表情をしていました。 「……痛くない。あんなに辛かったのが、嘘みたいです」

その後、数回の通院で痛みは完全に消失。 「『年のせい』と諦めなくて本当によかった」と、今では笑顔でパートに復帰されています。

「異常なし」は「原因なし」ではありません。 ただ、病院の検査では見つからない場所に原因(脳の誤作動)があっただけです。 誰にも理解されないその痛み、「脳」という違う視点から見れば「痛み」が治らない理由を見つけることができます。

【読者の皆様へ:本記事の取り扱いについて】

本記事は事実に基づくフィクションです。筆者は医師ではありません。記事内容は医学的診断を代替するものではなく、「科学的エビデンス」に基づく情報提供を目的としています。具体的な診断や治療については、必ず医師の診察を受けてください。その上で、「病院では解決しなかった悩み」の選択肢としてお読みいただければ幸いです。

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この記事を書いた人

早坂 秀一のアバター 早坂 秀一 痛み回復センター東京代表/日本慢性痛施術者協会理事/慢性痛施術者・整体師(臨床歴13年)


もう治らない」と諦めかけているその痛み、実は体だけでなく「脳や心の緊張」が原因かもしれません。 私は、単に筋肉をほぐすだけでなく、対話を通じて不安を取り除き、あなたが本来持つ「回復する力」を引き出すことを大切にしています。


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