File.17 「良い姿勢」の呪縛
〜背筋を伸ばすほど腰が痛い理由〜
24時間、気を抜けない
「私、姿勢が悪いから腰痛が治らないんですよね?」
O様(40代女性)は、カウンセリング中も、まるで面接試験のように背筋をピンと伸ばして座っていました。 以前通っていた整体院で「猫背だから腰痛になる。常に胸を張って、背筋を伸ばしなさい」と指導されたそうです。
それ以来、O様は仕事中も食事中も、常に「良い姿勢」をキープしようと必死でした。 しかし、頑張れば頑張るほど、背中は鉄板のように固まり、腰痛は酷くなる一方。 「私の努力が足りないんでしょうか……」と自分を責めていました。
軍隊のような緊張
私はO様の背中に触れました。ガチガチです。 呼吸も浅く、常に交感神経が高ぶっている状態でした。
「Oさん、その姿勢、苦しくないですか?」
「はい、正直とても辛いです。でも、崩すと先生に怒られるので……」
ここに大きな誤解があります。 一般的に「良い姿勢」とされる、胸を張って背筋を反らせる姿勢(ミリタリー・ポスチャー)は、実は筋肉に多大な負担をかけます。 常に筋肉に力を入れ続けることは、血管を圧迫し、「酸欠」を引き起こすからです。 O様の腰痛の原因は、猫背ではなく「良い姿勢のとりすぎ」でした。
最高の姿勢とは?
「今日から、背筋を伸ばすのはやめましょう。ダラッとしてください」
私はO様に、坐骨(お尻の骨)に体重を乗せて、上半身の力を抜く座り方を指導しました。 一見、少し背中が丸まっているように見えますが、筋肉はフワフワに緩んでいます。
「えっ、こんなに楽でいいんですか?」
「はい。動物を見てください。常に胸を張っている動物なんていませんよ」
「一番良い姿勢とは、ずっと同じ姿勢でいないこと」です。 固めることではなく、揺らぐことこそが、腰を守る秘訣なのです。
鎧を脱いだ背中
「良い姿勢」の呪縛から解き放たれたO様。 ご自身の骨格に合った自然体を見つけたことで、長年の腰痛から卒業されました。
「姿勢を正さなきゃ」という強迫観念が、あなたを苦しめているかもしれません。 もっと体に任せて、楽に生きていいんですよ。
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本記事は事実に基づくフィクションです。筆者は医師ではありません。記事内容は医学的診断を代替するものではなく、「科学的エビデンス」に基づく情報提供を目的としています。具体的な診断や治療については、必ず医師の診察を受けてください。その上で、「病院では解決しなかった悩み」の選択肢としてお読みいただければ幸いです。
