【File.18】「職業病だから仕方ない」という免罪符
ハサミを置く日
「美容師を続ける限り、この腰痛とは付き合っていくしかないんでしょうか」
カリスマ美容師として活躍するS様(40代男性)。 前屈みでのカット、シャンプー、長時間の立ち仕事。 腰への負担は限界を超え、最近ではお客様の前に立つのも辛い状態でした。
病院に行っても「職業病ですね。仕事を減らすか、辞めるしかありません」という、冷たい宣告。 「職業病」という言葉は、一見もっともらしいですが、「仕事をしている限り治らない」という「死刑宣告」でもありました。
仕事のせいにするのは簡単だが
私はS様のカット姿勢を見せていただきました。 確かに腰に負担がかかる姿勢ですが、同じ美容師でも腰痛がない人は沢山います。 その違いは何か?
S様は、手先を細かく動かす時、無意識に「足の指」を床に食い込ませるように踏ん張っていました。 土台である足元がガチガチに固まっているため、その上の股関節が動かず、全ての負担が「腰」一点に集中していたのです。
「Sさん、悪いのは美容師という仕事ではありません。『踏ん張りすぎ』です」
職業病という言葉は、思考停止の免罪符です。 原因は仕事内容ではなく、「仕事中の体の使い方」にありました。
指先の力を抜く
施術では、凝り固まった足指と足首をリリースしました。 そして、カット中の立ち方を修正。 「指で踏ん張るのではなく、踵(かかと)で床を感じてください」
重心が安定すると、上半身の余計な力が抜け、腰への負担が分散されます。
「……あれ? 同じ姿勢なのに、腰が軽い」
道具(ハサミ)の手入れは完璧でも、自分自身の体(道具)の手入れと使い方が間違っていたのです。
一生現役宣言
体の使い方を変えただけで、S様の腰痛は消失しました。 もちろん、美容師は続けています。
「職業病だから」と諦める必要はありません。 それは「治せない」ことの言い訳にはならないのです。 あなたの仕事のパフォーマンスを最大化するために、体の使い方を見直してみませんか?
【読者の皆様へ:本記事の取り扱いについて】
本記事は事実に基づくフィクションです。筆者は医師ではありません。記事内容は医学的診断を代替するものではなく、「科学的エビデンス」に基づく情報提供を目的としています。具体的な診断や治療については、必ず医師の診察を受けてください。その上で、「病院では解決しなかった悩み」の選択肢としてお読みいただければ幸いです。
