【File.06】少年からボールを奪わないで 〜分離症の真実〜

【File.06】

少年からボールを奪わないで

〜分離症の真実〜

目次

奪われたスパイク

「最後の大会なんです……なんとかならないでしょうか」

待合室でうなだれる中学3年生のサッカー少年、K君。その横で、お母様が必死に訴えかけてきました。 診断名は「腰椎分離症」。 腰の骨の疲労骨折です。

整形外科では「骨が折れているから、コルセットをして3ヶ月は絶対安静。運動なんてもってのほか」と告げられました。しかし、 安静にして3ヶ月以上経った今でも痛みは消えません。

これ以上練習を休めば、中学最後の大会には間に合いません。 K君の目からは、光が消えていました。

骨折は「痛くない」?

レントゲンを見れば、確かに骨は分離(骨折)しています。 しかし、私はK君の腰を触診し、ある確信を得ました。

「K君、今ここでジャンプしてみて」 「えっ、でも……」 「大丈夫、痛かったらすぐやめていいから」

恐る恐るジャンプしたK君。「っ痛!」と腰を押さえました。 その痛み方を見て、私は確信しました。 彼を苦しめているのは、折れた骨そのものの痛みではありません。 骨折部を守ろうとして、周囲の筋肉が異常に緊張している「筋肉のスパズム(つり)」の痛みです。

実は、分離症があっても痛みなくプレーしているプロ選手は沢山います。 「分離症=痛い」とは限らないのです。 痛みの正体が「筋肉のロック」ならば、痛みを取り除くことは可能です。

安静という名の停滞

「お母さん、骨をくっつけるには安静が必要です。でも、骨が治った後の過度の安静は逆に痛みを長引かせることがあります。」

私は、K君のガチガチになった股関節と背中(胸椎)を緩めていきました。 分離症になる子の多くは、股関節が硬く、その分の動きを腰でカバーしようとして骨にヒビが入ります。 つまり、患部(腰)ではなく、サボっている股関節を動くようにすれば、腰への負担は消えるのです。

施術後、K君のスパズム(筋肉のロック)は劇的に緩みました。 「あれ? 走っても響かない」

ピッチへの帰還

痛みが消えれば体は動きます。 K君は、当院で体のバランス調整を続け、見事に最後の大会のピッチに立ちました。

試合後、 「先生、フル出場できたよ!」と報告に来てくれたK君。

子供にとっての3ヶ月は、大人の何年分にも匹敵します。 「骨が折れていたのだから痛みがなくなるまで安静にしなければいけない」という理由で、その貴重な時間を奪わないであげたい。 それが、私の願いです。

【読者の皆様へ:本記事の取り扱いについて】

本記事は事実に基づくフィクションです。筆者は医師ではありません。記事内容は医学的診断を代替するものではなく、「科学的エビデンス」に基づく情報提供を目的としています。具体的な診断や治療については、必ず医師の診察を受けてください。その上で、「病院では解決しなかった悩み」の選択肢としてお読みいただければ幸いです。

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この記事を書いた人

早坂 秀一のアバター 早坂 秀一 痛み回復センター東京代表/日本慢性痛施術者協会理事/慢性痛施術者・整体師(臨床歴13年)


もう治らない」と諦めかけているその痛み、実は体だけでなく「脳や心の緊張」が原因かもしれません。 私は、単に筋肉をほぐすだけでなく、対話を通じて不安を取り除き、あなたが本来持つ「回復する力」を引き出すことを大切にしています。


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