【File.11】「一人で頑張る」ママのSOS 〜本当の原因は骨盤ではなかった〜

【File.11】「一人で頑張る」ママのSOS 〜本当の原因は骨盤ではなかった〜

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言葉のナイフ

「先生、もう限界なんです。腰が砕けそうで、子供を抱っこするのが怖い……」

K様(30代女性)は、生後6ヶ月の赤ちゃんを夫に任せ、悲痛な表情で来院されました。 主訴は、産後から続く激しい腰痛。 しかし、彼女を本当に追い詰めていたのは、痛みそのものではありませんでした。

毎日のワンオペ育児。夜泣きで睡眠時間は2時間。 ボロボロの体で夕食を作っていると、帰宅した夫が放った一言が、彼女の心を突き刺しました。

「昼間は子供と昼寝できて、いいね」

その瞬間、腰にナイフが刺さったような激痛が走ったそうです。 整形外科や整骨院に行き、「骨盤が歪んでいるから」とベルトを巻かれましたが、痛みは増すばかり。 「私の体がダメだから、育児も家事もできないんだ」と、K様は自分を責め続けていました。

腰に溜まった「怒り」の正体

K様の体を検査すると、骨盤のズレは軽微でした。 それよりも異常だったのは、「呼吸の浅さ」と「背中の鉄板のような硬さ」です。

これは、典型的な「交感神経の暴走」状態です。 人間は、強いストレスや怒りを感じると、無意識に「戦うか逃げるか(Fight or Flight)」の態勢に入ります。 K様の場合、夫への怒りや、誰にも頼れない孤独感が、脳にとっての「敵」となっていました。

脳は24時間、「敵(ストレス)」から身を守るために全身に力を入れ続け、血管を締め上げていました。 つまり、K様の腰痛の原因は、骨盤の開きではなく、「言葉のナイフに対する防御反応(筋スパズム)」だったのです。 心が休まらない限り、いくら骨盤を矯正しても、脳がまたすぐに筋肉を固めてしまいます。

鎧(よろい)を脱ぐ場所

「Kさん、あなたは悪くありません。骨盤も、そんなに歪んでいませんよ」

「頑張りすぎなくていいんです」

私がそう伝えると、K様の目から大粒の涙が溢れました。

施術のターゲットは、腰ではなく「自律神経」です。 怒りで凝り固まった頭皮と、呼吸を妨げている肋骨周りを、優しくリリースしていきました。 夫への不満、育児の不安。施術中に溢れ出る言葉の一つ一つを受け止めながら、脳の興奮を鎮めていきます。

「……あぁ、久しぶりに深く息が吸えました」

呼吸が深くなると同時に、鉄板のようだった背中の筋肉がフワッと緩みました。 物理的な刺激だけでなく、「共感」と「安心」が、脳のロックを解除する最強の薬になったのです。

ママの笑顔は家族の太陽

数回の施術を経て、K様の腰痛は消失しました。 「体が楽になったら、夫にも冷静に『手伝って』と言えるようになりました。最近は夫も少し変わってきて、お皿を洗ってくれるんです。」

痛みは、体からの「もう一人で頑張らなくていいよ」というサインでした。 産後の腰痛の原因は、骨盤だけではありません。 育児のストレス、夫へのイライラ、孤独感。それらが複雑に絡み合って「痛み」を作っています。

ママが笑顔でいることが、赤ちゃんにとっても一番の幸せです。 辛い時は、どうか一人で抱え込まず、私にその荷物を下ろしに来てください。

【読者の皆様へ:本記事の取り扱いについて】

本記事は事実に基づくフィクションです。筆者は医師ではありません。記事内容は医学的診断を代替するものではなく、「科学的エビデンス」に基づく情報提供を目的としています。具体的な診断や治療については、必ず医師の診察を受けてください。その上で、「病院では解決しなかった悩み」の選択肢としてお読みいただければ幸いです。

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この記事を書いた人

早坂 秀一のアバター 早坂 秀一 痛み回復センター東京代表/日本慢性痛施術者協会理事/慢性痛施術者・整体師(臨床歴13年)


もう治らない」と諦めかけているその痛み、実は体だけでなく「脳や心の緊張」が原因かもしれません。 私は、単に筋肉をほぐすだけでなく、対話を通じて不安を取り除き、あなたが本来持つ「回復する力」を引き出すことを大切にしています。


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