書籍紹介

痛みを手放す: 痛みと環境を変える言葉集 (ゆいま書房) Kindle版
早坂秀一 (著), みむらゆきこ (編集)

はじめに
 本書の編集に携わることになった私は、重度の座骨神経痛で3年間座れない生活を経験しました。2018年10月、フトした縁で著者である早坂先生と出会うまでに、20件近くの治療院を渡り歩く「痛み難民」でした。 「座る」という普段気にもとめない当たり前の動作ができない生活がどんなものか、経験した人でないと想像すらできないかも知れません。今振り返っても涙が溢れそうになるくらい、孤独な漆黒の闇に一人取り残されたような日々でした。どんな治療も受け付けず、何をやっても僅かな変化さえ実感できませんでした。座れないので、痛みで歩けなくなったら寝たきりになるという不安と恐怖に押しつぶされそうでした。 早坂先生は粘り強く誠実に、痛みとそして私という人間に向き合い、「痛みの世界」から救い上げてくれました・・・

生命の治癒力: 痛み篇 (ゆいま書房) Kindle版
早坂秀一 (著)

はしがき
 近年、痛みは心理社会的要因が関与していることが常識となりつつあるが、心理社会的要因の関与とは心の関与であります。思考や感情といった心が痛みをつくるのであり、痛みをどう捉え、どう感じ、どう行動するかにより痛みが早期に治るか或いは治らずに長期化するかが決まるのであります。詳細な説明は本文に任せるとして結論を述べると、いかなる痛みであれ心を切り離して肉体が独立して痛みを感じることはできないのであります。
 仮に同じ人が物理的に同じ損傷を受けたとしても、その時の感情、その時のシチュエーションによって激痛を感じたり、或いは全く痛みを感じないということがあるのであります。例えば戦場などの火急時において「痛みどころではない」という心の状態のときに人は痛みを感じることはできないのであります。また、どんなに耐え難い痛みでも眠っているときに痛みを感じないのは心が眠っているからであります。つまり、肉体の状態如何に関わらず意識(こころ)が目醒め、意識(こころ)が痛いと認めたときに初めて痛みは現れるということになるのであります・・・