調べれば調べるほど正体がわからない坐骨神経痛…
多くの人を悩ませる坐骨神経痛とは一体何者でしょうか。
坐骨神経痛を治すためには、まず、坐骨神経痛とは何かを知る必要があります。
ここでは、初めて坐骨神経痛になったという人でも坐骨神経痛とは何かがわかるように、坐骨神経痛の概要をまとめてご紹介します。
1. 坐骨神経痛とは
坐骨神経痛(座骨神経痛)は「ざこつしんけいつう」と読みます。
坐骨神経痛は病名ではなく、坐骨神経に由来する痛み、しびれなどの症状をまとめて坐骨神経痛と呼びます。
症状とは、なんらかの病気(原因)によって引き起こされる身体の変化のことであり、風邪をひいた時の咳や鼻水が症状であり、風邪(急性上気道炎)が病気(病名)になります。
また、坐骨神経痛の症状である痛みやしびれなどの本人にしかわからないもの(主観的な症状)を自覚症状と言います。
原因となる病気はともかく、腰が痛い状態を腰痛症と呼ぶのと同じで、腰からお尻、太ももやふくらはぎ、足先に痛みやしびれなど感じる状態(症状)が坐骨神経痛であります。
2. 坐骨神経痛を引き起こす坐骨神経とは
坐骨神経とは、腰椎(腰の骨)や仙骨(骨盤の骨)から出た神経が集まってできた人体の中で最も太くて長い末梢神経です。
※末梢神経:筋肉を動かす運動神経と痛みや熱さなどの知覚を感知する感覚神経があり、運動神経に障害がおきると麻痺や筋力の低下、感覚神経に症状がおきると感覚異常や感覚の消失などがでます。
腰椎(腰の骨)や仙骨(骨盤の骨)から出た坐骨神経はハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)と呼ばれる太ももの裏側を通り、膝の裏(膝窩)でふくらはぎ側とすね側に二手に分かれ、それぞれ足首、つま先へと伸びていきます。
この坐骨神経が刺激されたり、圧迫された時に坐骨神経痛を発症すると言われています。
言われていますというのは、原因が明確ではないということです。
3. 坐骨神経痛の特徴
坐骨神経痛の特徴は坐骨神経に沿って痛みが広がることです。
坐骨神経痛の多くは、片側の足に症状が現れ、お尻(臀部)から太ももの後ろ側、膝下まで痛みがでます。
坐骨神経痛は腰痛に伴う足の痛みというわけではなく、坐骨神経の通り道周辺の痛みという意味であり、腰が痛くなる人もいれば、痛くならない人もいます。
3-1. 坐骨神経痛と年齢
坐骨神経痛を発症する年齢は40〜50代が多いと言われていますが、10代で発症する人もいれば、70代で発症する人もいます。
また、妊娠中や産後に坐骨神経痛になる場合もあります。
これは、坐骨神経痛が発症する範囲が広いことと、坐骨神経痛という言葉が(原因不明の)腰や足の症状の総称として使用されることが多いためです。
坐骨神経痛になりやすい年齢というのも調査の基準によっては全く異なる結果になることでしょう。
若い人は腰椎椎間板ヘルニア、高齢の人は腰部脊柱管狭窄症が原因で坐骨神経痛になりやすいと言われていますが、坐骨神経痛の原因には様々な説があります。
3-2. 坐骨神経痛の原因
一般的には、椎間板や軟骨、骨の変形が坐骨神経を圧迫すると坐骨神経痛を発症すると考えられています。
坐骨神経痛の原因と言われているものには以下のようなものがあります。
坐骨神経痛の原因
- 椎間板ヘルニア(腰椎椎間板ヘルニア)
- 脊柱管狭窄症(腰部脊柱管狭窄症)
- 脊椎すべり症
- 変形性関節症 など
そのほかにもストレスや筋肉(梨状筋)が原因とする説、原因不明の坐骨神経痛というものもあります。
注:骨折、腫瘍、感染症などによるリスクを除外するためにも、腰から足にかけて痛みやしびれ、違和感を感じたら、まずは医療機関で受診してください。
3-3. 坐骨神経痛の症状
坐骨神経痛の症状は人それぞれですが、主な症状はお尻から足先にかけての痛みやしびれ、足に力が入らない、座ると痛くなるなどがあります。
坐骨神経痛の主な症状
- お尻や、太ももから足先にかけての痛み(ほとんどは片足側)
- 足、つま先のしびれ
- 座ると痛みが強くなる
- 足に力が入らない、動かしずらい。 など
他にも症状が悪化すると間欠性跛行といって長時間歩けなくなったり、歩行が困難になる場合もあります。
4. 坐骨神経痛の治療法
坐骨神経痛の治療法は、手術を行わない保存療法と手術療法があります。
4-1. 坐骨神経痛の主な保存療法
坐骨神経痛の薬物療法
- 鎮痛薬、湿布(NSAIDs・アセトアミノフェン)
- 筋弛緩剤
- 末梢血管拡張薬
- コルチコステロイド注射
- 硬膜外ブロック注射 など
坐骨神経痛の理学療法
- 運動療法、筋力トレーニング(水泳、水中歩行など)
- 牽引療法
- 電気療法(低周波など)
- 温熱療法、アイシング
- 装具療法(コルセットなど)
坐骨神経痛のその他の保存療法
- マッサージ
- ストレッチ
- 体操
- 体重のコントロール など
4-2. 坐骨神経痛の手術療法
坐骨神経痛の手術療法は、主に椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の手術になります。
手術はMRIやCTなどの画像検査によりヘルニアや狭窄が確認され、痛みやしびれ、歩行困難などで日常生活に支障がある場合の最終手段です。
しかし、手術をしたからといって100%治るわけではありません。
椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症の主な手術療法
- 椎間板切除術(椎弓切除術)
- 顕微鏡視下ヘルニア摘出術
- 腰椎椎体間固定術 など
このように坐骨神経痛の治療には多くの治療法があります。
逆に考えれば、すべての坐骨神経痛に効果があるという治療法は存在しないということになります。
なぜなら、坐骨神経痛の原因、痛みやしびれの原因をどう捉えるかによって治療法も変わるからです。
そのため、インターネットや本で坐骨神経痛のことを調べても謎は深まるばかりで一向に解決策が見つからないのが現状です。
薬や注射、マッサージやストレッチなど、どんな治療法でも治る人は一定数存在します。
手術をしなくても治る人、手術をしても治らない人もいます。
坐骨神経痛を治すには、治る人と治らない人の違いは何か、治る人の共通点、治らない人の共通点は何かということに気づく必要があります。
もしあなたが今の治療法で治らない、治療法や原因に疑問や不安を抱えているのであれば少し視点を変えてみてください。
一般論ではなく、あなたが感じていること、あなたの体の反応、体の声に耳を傾けてください。
そして、他の誰よりも自分の治す力を信じてください。
視点を変え、自分の治す力を信じた時、必ず変化は起こります。